VOL.19 2001.8
TOPIX
帝王切開のすべて!
 
  赤ちゃんが産道を通 って生まれてくることを自然分娩、または経膣分娩といいます。しかしすべてのお産が100%順調に進むわけではなく、中には事前に自然分娩が難しいと判断されたり、陣痛は始まったものの分娩がスムーズに進まない場合もあります。通 常、約80%の分娩が順調で、残りの約20%は異常が起こると考えられています。この20%のうち、吸引分娩などの処置がなされる場合があり、それでも無理と判断された場合は、安全な出産のために帝王切開になります。帝王切開はおなかを切って、子宮から直接赤ちゃんを取り出す方法です。佐藤クリニックでは、昨年1年間で、58例の帝王切開があり、これは全分娩数の約8%でした。重症の妊婦を取り扱う大病院では当然帝王切開率は高く、20%〜30%以上になります。日本全国での帝王切開率は12%くらいです。ちなみにアメリカでの帝王切開率は23%。ブラジルでは36%、韓国では43%といわれています。現在の帝王切開は、医学の進歩によって安全性はかなり高くなっていますが、手術である以上、リスクが全くないとは言い切れず、自然分娩の数倍の危険性があるとされています。また、産後の回復が早く体が楽な経膣分娩に対して、帝王切開は腹部に傷が残る手術ですし、安易に行うものではありません。しかし、帝王切開はママと赤ちゃんの命を守るために行う手術です。帝王切開が必要と診断されても怖がらず、その理由を確認し、医師の判断に任せましょう。
 
 

こんな時に帝王切開になります。
帝王切開には2つのケースがあります。妊娠中の検査で経膣分娩が難しいと予想される場合に、あらかじめ予定を組んで行うのが予定帝王切開。一方、赤ちゃんやお母さんの状態が急変し、早急に赤ちゃんを取り出さなくてはいけない場合など、経膣分娩の途中で切り替わるケースを緊急帝王切開といいます

予定帝王切開の場合
児頭骨盤不均衡(CPD)
赤ちゃんの大きさに比べて、お母さんの骨盤が狭いとき。ギリギリの場合は帝王切開の準備をしつつ、経膣分娩を試みます。
逆子(骨盤位)
赤ちゃんの足や膝が先に出ると、最後に出る頭がへその緒を圧迫し、危険なため帝王切開の確率が高くなります。
前置胎盤
胎盤が完全に、または部分的に子宮口をふさいでいる場合、子宮口が開いたとき大出血し輸血をすることもありますので、大きな病院で手術を受けることになります。手術までに出血し緊急帝王切開になることも。妊娠中の超音波検査であらかじめ診断されます。
妊娠中毒症
重い妊娠中毒症により胎盤の血流が悪くなると、胎児仮死の危険性が高くなります。胎児や胎盤機能、母体の状態によっては早めに帝王切開をします。
前回も帝王切開
前回の原因によっては経膣分娩できる場合もありますが、まれに、前回の傷が子宮収縮で伸びて薄くなり、子宮破裂を起こす心配があるため、帝王切開の確率が高くなります。
その他
多胎妊娠の時、子宮筋腫や卵巣のう腫で経膣分娩できないとき、子宮内胎児発育遅延など胎児の病気があるとき、経膣分娩が危険と判断されれば帝王切開になります。

緊急帝王切開の場合
胎児切迫仮死
一番多いケースで、何らかの原因で赤ちゃんが酸素不足になり心拍数が下がり胎児仮死に陥った場合。
微弱陣痛
赤ちゃんを生み出す力(陣痛)が弱いため、お産が長引く遷延分娩になり、母体や胎児の衰弱が見られるとき。
胎盤早期剥離
分娩前に胎盤がはがれてしまう緊急トラブル。大出血が起こり母子共に危険な状態になるので、手術で一刻も早く赤ちゃんを取り出す必要があります。手術後も母体が重傷化するので大きな病院に搬送します。
前期破水
破水をして長時間たつと、子宮内感染の心配が出てきます。分娩を早めるために陣痛促進剤を使用しますが、それでも分娩が進行しないときは帝王切開になります。
その他
予定日超過で胎盤機能が低下したとき、回旋異常などで分娩が停止したとき、羊水過少や臍帯脱出(頭より先にへその緒が出てしまうこと)で赤ちゃんが危険になったときなど。
 
 

いつ頃どんなふうに決まるの?
予定帝王切開の場合
前回の出産が帝王切開の人などは、妊娠の初期の頃に帝王切開と早めに決まってしまうことがあります。しかし、通 常は経膣分娩の可能性も考慮しながら妊娠経過を注意深く観察し、妊娠10ヶ月に入ってから判断することになります。あらかじめ予定を組んで帝王切開を行うからには、スタッフをそろえ十分に準備をして安全に行うことが大切です。手術日の決定には、いくつかの条件があります。まず、陣痛が起こる前に行うということ。また赤ちゃんの発育状態も重要です。これらの条件を満たす時期は、妊娠37〜38週頃です。
緊急帝王切開の場合
どんな状況でも、必要と判断された場合はすぐに緊急帝王切開を行います。予定帝王切開の手術日前日であっても、陣痛が始まってしまったり、ママや赤ちゃんの状態が急変した場合は早急に行われることも。また、経膣分娩予定のママであっても、あるいはすでに経膣分娩の最中であっても、危険な状態と判断されれば、帝王切開に素早く切り替えられます。ただし、常位 胎盤早期剥離や、分娩中の意識障害など、出産後さらに状態が悪くなることが予測される場合は、大きな病院に搬送して手術を行うこともあります。

 
 

手術の流れ
手術室に入ります
陣手術室に移動した後衣服を脱ぎ、バス タオルをかけます。その後心電図や血 圧計などの器械をセット。導尿などの 処置を受けます。
麻酔をします
横向きになり、背中を消毒し、背中から腰の部分をできるだけ突き出すような姿勢をとり、脊髄液の中に麻酔液を注入。その後仰向けになり、腹部を消毒します。帝王切開で使用される麻酔の多くは、下半身の痛みだけを取る腰椎麻酔です。意識ははっきりしていますので、赤ちゃんの産声を聞くことができます。
切開をします
麻酔が完全に効いたことを確認し、切開を始めます。皮膚、脂肪層、筋膜、筋肉、腹膜、子宮の順に切っていきます。原則として皮膚は縦に、子宮は横に切ります。
誕生
子宮を切開し卵膜を破ると、羊水が自然に流れ出ます。赤ちゃんを取り出し、へその緒を切ります。手術の開始後赤ちゃんを取り出すまでは5分程度と、あっという間です。このとき赤ちゃんの産声を聞けますし、赤ちゃんと対面 することもできます。産んだ実感を十分に味わうことができます。誕生後は胎盤や卵膜をきれいに取り出します。
縫合
自然にとける糸で子宮を縫い合わせ、続いて切開とは逆の順で縫合していきます。使用する糸はすべて自然にとける糸ですが、皮膚は手術用の接着剤で固定します。






 
  帝王切開後の入院生活
手術当日(0日目)
腰椎麻酔の場合、手術終了後数時間で麻酔が切れてしまいます。麻酔が覚めると、傷の痛みを感じることもありますが、鎮痛剤を処方しますので、我慢しなくても大丈夫です。麻酔が切れてなくても後陣痛を感じることはあります。 手術当日は安静にして体を十分休ませます。当日はトイレに行けないので、尿は導尿の管から排泄します。体調がよければ短時間ですが赤ちゃんをそばに連れてくることもできます。
1日目
手術後は、長い間寝たままでいると体の回復が遅くなり、まれに血栓症を起こす心配があります。そのため最近では、早期離床をしてなるべく体を動かすようにするのが一般 的です。回復が順調なら、導尿の管をはずしてベットから起きあがり、初回歩行をかねて、ナースに付き添われながら自分でトイレに行きます。食事は重湯などの流動食が始まります。赤ちゃんをそばに連れてきます。回復が早ければ、寝たままですが母乳を飲ませてみます。
2日目
母体の回復を見ながら、赤ちゃんに母乳を飲ませる練習が始まります。
3日目〜5日目
食事も普通食になり、経膣分娩のママと変わらない生活ができるようになります。佐藤クリニックでは、皮膚の傷口は手術用の接着剤で固定しますので、抜糸などはありません。接着剤で固定した場合、手術翌日からシャワーができますが、体力から考えて、シャワーを浴びるのは3日目からにしています。また当然ながら抜糸もありません。
6日目
前日の診察で異常がなければ、退院となります。
 
退院後
子宮の戻り具合は基本的に経膣分娩と同じですが、悪露の期間は多少長くなる人もいます。おなかの傷は1ヶ月すぎてからケロイド状に盛り上がってくることも珍しくありません。1年以上経過すれば徐々に薄くなってきます。次の妊娠までの間隔は1年でも問題はありませんが、上の子の育児の手がかかるママの体の負担を考えると、2年くらいはあけてほしいと思います。帝王切開のみの出産回数は、母体に異常さえなければ、3回以上でも可能です。 今日の日本では、10人に一人が帝王切開で出産しています。帝王切開も一般 的な出産方法の一つといえる時代になってきました。経膣分娩も帝王切開もどちらも立派なお産です。お産のかたちはどのようであれ、その後「楽しく」育児に専念できるようになればいいと思います。
 
 
  7月7日の“マービーキッチン”は、食物繊維対策がテーマでおこなわれました。この日は「たなばた」ということで、食事の後、みんなでたなばたの笹飾りをつくりました。色紙でいろんなかたちの飾りを作ったり、短冊に願い事を書き込んだり。いったい何年ぶりのことでしょう。ご主人さまと共に童心にかえって、大いに盛り上がりました。みんなどんな願い事を書いたのかな?結構真剣でしたよ。。7月7日に行われた“マービーキッチン”は、食物せんい対策がメインテーマで行われました。この日は七夕でもありましたので、参加者の皆さまで、七夕の笹飾りを作りました。七夕の短冊を書き、飾り付けをするなんて、子どもの時以来ですから、ご主人さまと共に童心に返って、願い事を短冊に書き込みました。結構真剣に願いを書き、大いに盛り上がりました。もちろん実際の調理の時も盛り上がっていました。
 
 
  皆さまからよくいただく私個人に関する質問について、Q&A形式にまとめてみました。
 
  夜中のお産もたくさんあるのに院長はいつ寝ているのですか?
  ちゃんと夜は寝ています。私は割と寝起きはいい方で、夜中のお産の時も、電話でコールされると、ガバッと起きてハピイルームに駆け込んでいきます。その間およそ1〜2分ですっかり目を覚ましてしまいます。そそてお産が終わるとすぐ寝てしまいます。寝るのは得意なのです。いつでもどこでも寝られるのです。それでもやはり夜中に起きると、次の日は眠いので、そんなときは朝食後に5分とか、午前の診察と午後の診察の間に15分くらいとか、夕食後に30分とか細切れに少しずつ寝て不足した睡眠時間を解消しています。
 
  ゆっくり晩酌してくつろぐということはないですか?
 
もともとアルコールには弱い方です。350mlの缶 ビールを全部は飲みきれないくらいで、すぐに顔が赤くなってしまいます。夜中の救急の診察やお産もありますので、それに備えて、基本的に晩酌はしません。そうはいっても夏の暑い日、風呂上がりのビールが恋しくなることもあり、そんなときは一番小さい缶 ビール(135ml)を飲むこともあります。
 
  ハローマービークラブにダイエットしたと書いてありましたが、その後はどうですか?
 
現在60.5kgくらいで体重を維持していますから、もうダイエットはしていません。でも以前より食事の取り方や内容に注意し、2〜3日に1回は体重計に乗り、数字をカレンダーに書き込んでいます。
 
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